無ければ自分で動いてみる。札幌で一年勉強会を続けた話。

この記事は 地方IT勉強会 Advent Calendar 2019 – Adventar 14日目の記事です。

13日目は ふらふらはしる さんの “勉強会に救われた話とアウトプット“、15日目は Ritsuko Nishibata さんの “大阪で教員対象のコミュニティ続けています。” です。

地方で開こうIT勉強会

日本各地の田舎で勉強会をやっている人たちの声をききたい,どんな苦労があるのだろうか,どんな思いで進めているのだろうか…… などなど,ざっくばらんにお気持ち表明をしていただけると,各地で頑張る,あるいは頑張っていきたいと思ってらっしゃる方のためにもなるかと思っています.ぜひぜひ思いの丈をぶつけてみてください!

ということで、地方の中では比較的恵まれているはずの札幌でIT勉強会をなんでやり始めたか、というものを書いてみたいと思います。

まずは紹介

わたしは、札幌で “ゆるWeb勉強会@札幌” という勉強会を主催しています。

https://meetup.tacck.net/mildweb.html

主に「Web」というキーワードに関する、ゆるい勉強会です。 プログラムを始めたばかりの人も、仕事でバリバリやっている人も、どなたでも歓迎です!

「勉強し初めて、次に何をやればいいんだろう?」 「普段使っていない言語やフレームワーク、知っている人に導入部分を聞いてみたい。」 「いつもはバックエンドだけど、たまに触るフロントエンドの話も知りたい。」 「実際、みんな現場ではどうやって開発してるの?」

仕事・趣味を問わず、普段の仕事の内容も問わず、「Web系」に関することを、ゆるっとみんなで話してみたいです。

というように、あまり縛りを設けないことで初心者・初学者が情報を得るきっかけとなるような会を目指して活動しています。
特に「Web」というキーワードにすることで、割と広い範囲のことをなんでも話せるというようにしています。

いつから

第一回目の勉強会が 2018年8月28日、およそ1年4ヶ月間、2ヶ月~3ヶ月ごとに開催しています。

https://mild-web-sap.connpass.com/event/95075

無事に1年を超え、(私の気持ち的に)安定して開催できるようになってきたので、少し振り返りを兼ねてこの記事を書かせてもらいます。

なぜ勉強会をやり始めたのか

まずはシンプルに「運営やってみたい、楽しそう」という気持ちを持っていたから、ですね。

私は、2013年ごろから札幌の勉強会に行くようになりました。
その中でも SaCSS さんにもっともお世話になったと思います。

その主催の ハムさん や周りの方達と仲良くしていただいてて、こういうコミュニティはとても良いものだ、と思っていました。

そうやって「参加者」として時間を過ごしていたのですが、2017年〜2018年あたりに「そういえば、Web全般の勉強会、特にバックエンドに近いところの勉強会に参加していないなぁ。」と感じるようになりました。

こういうのは波があるものですが、上記のタイミングでちょうどその辺り札幌ではちょうど少なくなっていたタイミングだったように思います。

そもそも、自分が業務では「フロントエンド」「バックエンド」「インフラ」「スマホアプリ」「マネジメント」と、なんでもやるタイプであり、プライベートでもコードを書いたりするので、「いろんなことを一度に扱える勉強会、いろんな領域を繋ぐ勉強会」というものが欲しい、と強く思い始めました。

そして、(当然)そんな贅沢な勉強会はそうそうあるわけでもなく、そもそも誰かがやってくれるのを待つのも全然違うなぁ、と思い、「無いなら自分でやってみよう。」と思い至りやり始めることにしました。

なにをやったか

基本方針として、下記を念頭に置いて動き始めました。

  1. 開催しやすくするために、人数にこだわらない
  2. 色々な話をしやすくするために、参加ハードルを下げる
  3. 参加してくれた人たちの満足度を上げるために、勉強会の中でのやりとりを活発に

開催をしやすくするために

そもそも運営が負担になってしまうとすぐに開催しなくなるだろうと思い、会場の大きさはこだわらないようにしました。
つまり、「手配しやすい場所のサイズを上限」としました。

最初の頃は Infinitloop 様 の会議室貸出 を利用させて頂いていました。

現在は自分の所属会社で制度や環境を整えて、「社員による勉強会開催時の会議室利用」をフローとして申請できるように調整し、開催するようにしています。
これによって、開催時の場所確保のハードルと心理的負担を大幅に下げることができました。

現在は20名前後での開催に落ち着いていますが、私の基本スタンスとしては「2〜3名来てもらえたら大成功」というのは初回から変わらずあります。

色々な話をしやすくするために

話をしやすくするための方法として、「話題を広げる」ことと「話題を絞る」ことの両方のやり方があると思っています。

そして、私は色々な話を聞きたかったので、「話題を広げる」方を選択しました。

まず勉強会の「名前」ですね。

一度つけたら(必ずでは無いですが)ずっと付き合っていく名前になりますし、やはり会の「顔」となります。かなり考えました。

結果として、「Web系」の勉強会であり、「ゆる」く参加できる、というのをストレートに表したくて “ゆるWeb勉強会” としました。
現在では、参加していただいた方達には「ゆるWeb」という呼び方で定着しているようなので良かったかな、と思っています。

もちろん、名前だけで参加のハードルが下がるわけではありません。

今まで同様に勉強会に参加しつつ、「ゆるい勉強会をやり始めたんですよ」というようなことを話してみたり、SNSでの発信も意識的に増やして行ったり、他の勉強会で発表する時も「主催しています」と言ったり、ということをやるようになりました。

そうは言っても、そもそも「私が怪しい」とか「私が(技術的にも)信用できなそう」という風に思われてしまってもやはり勉強会として続きません。

そのため、こちらも(可能な範囲で)他の勉強会やイベントでの登壇を行なったり、SNSでも技術的な話題を扱ったり、カンファレンスのスタッフとして活動したり、ということもやりました。

また、 “ゆるWeb勉強会” で自分が発表する時は極力「動くコードや環境」とセットで発表するようにしています。
これによって、自分の技術的な信頼度を直接みてもらえるかな、と思っています。

あわせて、私自身が発表するテーマを幅広くすることで、それを見た人たちにも「色々と話していいんだ」と思ってもらえれば、と考えています。

参加してくれた人たちの満足度を上げるために

一度参加してもらった方達に再度足を運んでもらうためには、参加時の満足度をあげないといけません。
とはいえ、この満足度をどう測るのか、というのも非常に難しいです。

そこで、 “ゆるWeb勉強会” は「会の中でどれだけ活発に話ができたか」という方向で考えることにしました。

そのため、「参加者の発表を促す」ことと「参加者の質問を促す」ことに力を入れています。

参加者の発表を促すためには、発表しやすい、発表してみたい、という空気作りが必要ですよね。
最初は別の勉強会などで発表経験のある方中心でしたが、「初心者発表枠」とあえて作り勉強会の中でも「発表しよう」というようなことを言い続けて「初めて発表してみます」という方に発表してもらえるようになってきました。

「発表しよう」という空気作りの軸として「質問を促す」ということを心がけています。

“ゆるWeb勉強会” では「質問しよう」ということを最初に伝え、できるだけモチベーションを上げてもらえるようにしています。

https://meetup.tacck.net/mildweb.html#%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%A7%E8%B3%AA%E5%95%8F%E3%82%92%E3%81%97%E3%82%88%E3%81%86%EF%BC%81

私からも質問しつつ、発表者以外の参加者にも投げかけてみたり、といったことを試行錯誤しながらやっています。

ここは、まだまだこれから良いものにしていきたいですね。

やってみたらどうなった?

まず、「続けられること」そのもの、がありあす。

定期的に参加してくれる方たちがいる、初めて飛び込んできてくれる方たちがいる、そうやって色んな方たちが集まってくれることで、勉強会を続けられます。

「自分のやりたいこと」をやった結果、それを一緒に楽しんでくれる方たちに出会えたのは大変幸運なことだと思います。

あと、自分のスキル的な面で「人前で話すことにだいぶ慣れた」というのはあります。

2019年9月21日開催した “PHPカンファレンス北海道 2019” の実行委員をやっていて、当日はメインセッションの司会を担当していましたが、そこで割と落ち着いて対応できたのは勉強会主催の経験があったからと思っています。

他には、他の勉強会を主催している方から「自分のところで発表してくれないか」というような依頼も頂いたり、「自分のところと一緒に何かやってみないか」と声をかけてもらえるようになってきたのは、とても嬉しいです。

そういったところで新しい繋がり・新しい出会いができて、気軽に参加できる裾野を少しでも広げられたら、と思っています。

なにを学べたか

自分にとっては「やりたいことをやってみた」という経験を得られた、ということそのものがすごく価値があります。
人がやっていることに乗っかるのではなく自分で、という意識は、生きる上で色んな面でプラスに働いてくれると思います。
(仕事でも、言われたことをただやるだけでなく、そこに自分のやりたいことを加えて成果を出す工夫を前向きに考えることが当たり前になったり、ということがあります。)

私の場合、「札幌」というそれなりに人口も多く、とはいえ東京などと比べれば勉強会の数も全然少ない、という「潜在的な需要」のある地方であったからこそ、続いているかな、という気持ちもあります。

つまり、私と同じような地方にいらっしゃる方、「やりたいことをやってみる」と意外とうまく行く可能性があるんじゃないかな、と思います。

つぎはどうしよう?

結局「自分がやりたいことをやる」というものなので、何か大きく変えることなく、色んな人たちに色んな話をしてもらえる場所、として続けたいです。

特に、初心者・若手の人たちに「ちょっと発表してみたい」と思ってもらえるような場所として育てられたら、と考えています。

また、他のコミュニティとの連携、共同開催も、今後も継続できるようにしてきたいです。お互いのコミュニティの似ているところ・違うところをぶつけて、視野を広げていきたいです。

それを実現するためにも、他の勉強会への参加、さらに登壇も出来るだけ繰り返していきたいと思います。

これを読んでみた方も、ちょっとしたもので良いのでぜひ自分の地域・自分の会社・自分の周囲で「自分のやりたい」勉強会をやってみてください。
きっと、何か得られるものがあると思います。

tacck
  • tacck
  • 北の大地の普通のソフトウェアエンジニア。
    インフラ・バックエンド・フロントエンドと、色々やります。

    初心者・若手向けのメンターも希望あればお受けします。

    勉強会運営中
    * ゆるWeb勉強会@札幌
    * スマートスピーカーで遊ぼう会@札幌

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